ビカクシダを胞子から育ててみたい。
そう思っても、「難しそう」「発芽しなかったらどうしよう」と不安になり、
なかなか始められない方も多いと思います。
私自身も、胞子培養を始めたときは知識がほとんどありませんでした。
カビが出たり、土の表面がアオコだらけになったり、
温度が合わず何か月待っても変化が見えなかったり。
失敗を繰り返しながら、少しずつ育て方を整えてきました。
胞子培養には時間がかかりますが、大がかりな設備は必要ありません。
ただし、光と温度を安定させるため、ライトと温度計を用意することをおすすめします。
道具をそろえ、湿度・温度・光を意識して管理すれば、
初心者でも小さな胞子が育っていく過程を楽しめます。
この記事では、胞子をまく準備から、前葉体・胞子体・鉢上げまで、
私が実際に行っている流れを順番に紹介します。
胞子をまいてから発芽するまで、どのくらいかかる?
環境が合えば、胞子をまいてから約1か月で土の表面に緑色の変化が見え始めることがあります。
ただし、すべてが同じ速さで発芽するわけではありません。
品種、温度、光、などによって差があり、
4〜5か月ほどかかる場合もあります。
1〜2か月で変化が見えないからといって、すぐに失敗と判断する必要はありません。
土が乾燥していないか、温度が大きく外れていないか、
カビやアオコが広がっていないかを確認しながら待ちます。
私が普段管理している温度は、20〜30℃の範囲です。
環境や品種による差はありますが、30℃を超えると
発芽しづらくなる印象があります。
エアコンなどで30℃以下を保てない場合は、
気温が下がるまで播種を待つことをおすすめします。
胞子培養に必要な道具
最初に用意するものは、次の5つです。
- ビカクシダの胞子
- 培養土
- 透明な蓋付き容器
- 水やり用スプレー
- 茶こし
あわせて用意してほしいのが、温度計と植物育成ライトです。
温度計は容器の近くに置き、温度を確認します。
育成ライトを使うと、季節や置き場所による光の差を小さくし、
安定して育ちやすくなります。
※この記事にはAmazonアソシエイトリンクが含まれます。実際に使用し、紹介したいと感じた道具のみ掲載しています。
Amazonのアソシエイトとして、ヨシムラ植物商店は適格販売により収入を得ています。
私が使っている温度計
最高・最低温度を残せるため、見ていない時間にどこまで温度が上がったか確認できます。容器の近くに置き、30℃を超えていないかを見るために使っています。
費用を抑えて始められる水槽用ライト
初めての方は、最初から高価な植物育成ライトを用意しなくても大丈夫です。私が育てた環境では、手頃な水槽用ライトでも胞子培養を始められ、実際に育っています。まずは費用を抑えて始め、育成数や置き場所が増えてから専用ライトを検討する方法でもよいと思います。
ライトを使っていても容器周辺の温度確認は必要です。30℃を超える場合は、エアコンで温度を管理するか、涼しくなるまで胞子をまくのを待ってください。
先細ピンセットについて
前葉体を分けたり、植え替えたりするときは先細タイプのピンセットが使いやすいです。高価なものでなくても、ダイソーやセリアで購入できるもので十分です。
初心者にはジフィーセブンがおすすめ
土は、ジフィーセブンまたはピートバンを使っています。
初めての方には、容器に入れて水で戻すだけで使えるジフィーセブンがおすすめです。
土を一から配合する必要がなく、最初の準備を簡単にできます。
道具を一つずつそろえるのが不安な方へ
「ビカクシダ胞子培養エントリーセット」には、
初心者向けの胞子4種類、ジフィーセブン、培養容器、スプレー、茶こし、簡易ガイドが入っています。
必要なものを一度にそろえたい方は、こちらから内容を確認できます。
手順1.容器と培養土を準備する
容器に培養土を入れ、水で戻して表面を平らにならします。
ジフィーセブンを使う場合は、水をかけてから約30分待ち、
2〜3倍ほどに膨らんだ状態が使用の目安です。
水が少なすぎると乾燥しやすくなりますが、容器の底に水がたまるほど多く入れると、カビやアオコの原因になります。
「しっかり湿っているけれど、水浸しではない状態」を目指します。
ざる付きのタッパーを使うことで、水をあげすぎても
容器の底に溜まった水を簡単に捨てることができるので、おすすめです。
手順2.胞子を薄く均一にまく
茶こしに胞子を入れ、土の表面へ薄く均一にまきます。
胞子は非常に細かいため、つい多くまきたくなりますが、「少なすぎるかな」と思うくらいで十分です。厚くまきすぎると、成長後に密集し、植え替えや管理が難しくなります。
茶こしのほか、筆やスプレーを使ってまく方法もあります。最初は、全体へ均一に広げやすい方法を選んでください。
手順3.蓋を閉めて発芽を待つ

胞子をまいたら容器の蓋を閉め、湿度を保った状態で管理します。
現在は、容器を窓から離し、植物育成ライトを使って育てる方法をおすすめしています。カーテン越しでも日が当たると、透明な容器の中は短時間で高温になることがあります。
容器の近くに温度計を置き、実際の置き場所の温度を確認してください。私は20〜30℃の範囲を目安に管理しています。30℃を超える状態が続く場合は、エアコンで温度を調整するか、涼しくなるまで胞子をまくのを待つ方が安心です。
土に十分な水分が残っている間は、毎日水を足す必要はありません。表面が乾いてきた場合だけ、霧吹きでやさしく加湿します。水を勢いよくかけると胞子が一か所へ流れてしまうため注意してください。
手順4.前葉体が育ってきたら水やりを始める
発芽が進むと、土の表面に小さな緑色の前葉体が広がってきます。前葉体は、胞子体が出る前に見える緑色の小さな葉のような部分です。
前葉体が小さい間は、引き続き容器内の湿度を保ちます。緑色の部分が広がってきたら、培地の乾き方を見ながらスプレーや霧吹きで水を与えます。
水やりの回数を固定するより、土の状態を見て調整することが大切です。水やり後、容器の底に水がたまっている場合は捨てます。水がたまったままになると、アオコや蒸れが発生しやすくなります。
手順5.胞子体が出たらスペーシングする
前葉体から小さな葉が出てきたら、胞子体の始まりです。
胞子体が密集している場合は、間隔をあけて植え直す「スペーシング」を行います。間隔をあけることで、それぞれの株へ光や水分が届きやすくなります。
作業には先細タイプのピンセットが使いやすいです。高価なものでなくても、ダイソーやセリアで購入できるもので十分です。
最初から全部を植え替えるのではなく、別の容器を用意し、一部から試すのがおすすめです。植え替え直後は株が弱りやすいため、しばらくは蓋を閉めて湿度を保ちます。気温が30℃を超える時期は無理に作業せず、気温が落ち着くまで待つこともあります。
手順6.成長したらセルトレイやポットへ鉢上げする
何度かスペーシングを繰り返し、株が大きくなったらセルトレイへ植え替えます。
水苔は蒸れやすいため、最初は霧吹きでやさしく水を与えます。植え替えから1か月ほど経過し、株の状態が安定してきたら、少しずつ蓋を外して湿度を下げていきます。
急に乾燥した環境へ移すのではなく、蓋を開ける時間を少しずつ長くしながら慣らしてください。湿度を下げても元気に育つようになれば、ポット苗や板付けへ進められます。
胞子培養を続けるための5つのポイント
1.温度を20〜30℃の範囲に保つ
特に30℃を超える環境では発芽しづらくなる印象があります。透明容器の中は周囲より温度が上がることがあるため、容器の近くで温度を測ります。
2.培地を乾燥させない
容器の蓋を閉めて湿度を保ち、乾いてきた場合だけ霧吹きで加湿します。ただし、底に水をため続けないようにしてください。
3.窓辺を避け、育成ライトで明るさを確保する
カーテン越しでも容器に日が当たると、短時間で高温になることがあります。窓から離し、育成ライトを使って管理する方法をおすすめしています。
4.扱いやすい培地を選ぶ
私が使っているのは、ジフィーセブンまたはピートバンです。初めての方には、水で戻すだけで準備しやすいジフィーセブンをおすすめしています。
5.採取時期や育成状況が確認できる胞子を選ぶ
胞子の状態によっても、発芽までの時間は変わります。購入前に採取時期や当店の育成状況を確認できるよう、順次記録を追加しています。
初心者の頃に多かった3つの失敗
カビが発生する
水が多すぎる、容器や道具に汚れが残っている、胞子にゴミが多く混ざっている場合などに発生しやすくなります。水浸しにせず、使用する容器や茶こしを清潔にしてから始めます。
アオコが広がる
水分が多く、光が強い環境では、土の表面にアオコが発生することがあります。水やり後に底へたまった水を捨て、ライトが近すぎないか確認します。
温度が合わず発芽しない
見た目には問題がなくても、高温や低温で変化が止まっている場合があります。感覚だけで判断せず、温度計で確認します。
初めての方に選んでいる胞子4種類
エントリーセットには、初めての方でも成長の変化を観察しやすい品種として、次の4種類を入れています。
- Ridley
- coronarium
- willinckii
- grande
品種ごとに発芽までの速さや葉の形が異なるため、4種類を同時に育てて比較できることもセットの楽しみです。
エントリーセットと90日間の発芽サポート
エントリーセットには、胞子4種類、ジフィーセブン8個、培養容器4個、スプレー、茶こし、簡易ガイドが入っています。
播種後90日間、温度や光、容器の状態を一緒に確認します。期間内に発芽を確認できなかった場合は、条件を確認したうえで対象の胞子を1回再送します。
まとめ
ビカクシダの胞子培養で大切なのは、次の5点です。
- 培地を水浸しにせず、湿度を保つ
- 窓辺を避け、育成ライトで明るさを確保する
- 20〜30℃の範囲を目安に管理する
- 緑色の変化がなくても4〜5か月は様子を見る
- カビ・アオコ・温度の変化を早めに見つける
必要な道具を一つずつ選ぶのが不安な方は、胞子4種類と培養に必要な道具をまとめたエントリーセットから始めてみてください。